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砂糖を焦がせば薫る日々

サイト更新と読み物を少々

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小ネタ・こたつ


「こたつってさ」
「ん?」
「あったかいよね」
「うん」
「でも、大の大人が2人も体を潜らせるには、ちょっと狭くもあるよね」
「うん」
「だからさ、入るにはそれなりに位置取りに工夫がいると思うんだ」
「うん」
「……いや、『うん』じゃなくてさ」
「うん?」
「……こたつっていうのは基本的に四方どこからでも入ることができるというところが最も優れた点だと、ぼくは思うんだよね」
「うん」
「一人用のこたつというのもあるらしいけど、それは今はおいておくよ。一般的なこたつの形態なら、ポジション取りに選択肢が4つもあるでしょ。もちろん慣れ親しんだ自分のポジションというものがあるとは思うけど、気分によっては場所を変えてもいいし、なんだったらポジションはそのままに体勢だけ変えてみるのも自由なわけだよ。特に1人のときはどんな風に使ってもかまわないと思う。こたつは非常に快適な空間を提供してくれる、冬場には欠かせない魅惑のアイテムなんだ」
「うん……」
「だけど、複数人で利用するときはそうはいかない。普段父親が使っているポジションを勝手に占拠していると、早い者勝ちというルールでもない限り退去を命じられるし、テレビのリモコンやポットが近くにあるというだけで、チャンネル変えろお茶淹れろとあれこれ命令されて穏やかに過ごせないこともあるし」
「ん……」
「一方でこたつの中でも争いは絶えないんだよね。4人も入れば足の置き場に困ること必至で、真ん中を占拠するな隅っこは寒すぎるずっと脚をたたんでいると窮屈で仕方がないと苦情だらけ文句言い放題で、快適とは程遠くなってしまうんだ。だからこたつを複数人で使うときは、ポジション取りから脚の置き場まで、お互いに譲り合ったり支えあったりしていくのが理想的だと、ぼくは思うんだよね」
「……」
「寝るな」
「……んー?」
「あのさ、ぼくの話聞いてた?」
「ううん」
「……さっきから『う』と『ん』だけで会話するとかどんだけものぐさだよ!」
「長い」
「一言で切って捨てるなあ! ……ああ、もう直球で言うけど、離れてくれないかな」
「なんで?」
「狭いからだよ。回りくどい言い方で悪かったけど、要するに同じ場所に入るんじゃなくて、反対方向に回ってくれないかって言ってるの」
「私をここから追い出すつもりなの? エアコンもストーブもない、この寒い部屋の中で?」
「そこまでは言ってない。ぼくの方が悪いような言い方やめてよ」
「キミが場所を移せばいいじゃない」
「……」
「ん?」
「いくら幼馴染みだからって、どうして人んちでそこまでリラックスできるのか不思議でならないけど、今回だけはその方が手っ取り早いと思うから従うよ」
「素直でよろしい」
「よっ……と」
「んしょんしょ」
「……なんで中に潜って反対側に回るの?」
「キミが場所を変えるって言うから」
「変えさせられたんだよ! いや、そうじゃなくてね。こっちは離れることが目的なのに、そっちも場所を変えたら意味ないじゃん」
「私は別に離れたくないし」
「だから狭いんだってば。位置取りがダブるとスペースを有効活用できないでしょ」
「そんなことないよ。ほら、入って」
「なんで自分の家みたいに振舞ってるの」
「ほら、早く」
「……お邪魔します」
「はい」
「うわっ」
「これでよし、と」
「……なんで引き倒されたのかな、ぼくは」
「それは、こうやってー」
「ちょ」
「ぴったりくっつくためだよ」
「……くっつくっていうか、抱きつかれてるんだけど」
「抱き枕ー」
「枕代わりかよ!」
「私だけの抱き枕だよ。おしゃべりにも付き合ってくれるし、なんだかんだで甘いし、気心が知れてるから安心できるし、くっついてるとあったかい」
「……ぼくも一応男だから、そういうことされると変な気分になっちゃうんだけど」
「変な気分てたとえば?」
「え……」
「体温が高くなったり、呼吸が荒くなったり、動悸が激しくなったりする?」
「あ、えっと、その……」
「最近流行ってるからね。手洗いうがいはきちんとしないと」
「まぎらわしい言い方しないでよ! あと、そのボケはつまらないよ」
「じゃあつまらないことはやめて楽しいことしようか」
「え」
「たとえば、キスとか」
「……た、楽しいことなの?」
「少なくとも、つまらないことじゃないよ」
「……」
「……馬鹿なことばかり言ってるけど、私もけっこうどきどきしてるんだぞ」
「……」
「ほら、顔逸らさないで、こっち向いて」
「いや、ぼくは……」
「それとも、私のこと嫌い?」
「……そんなわけないよ」
「じゃあ好き?」
「……好きだよ」
「……本当?」
「うん」
「……ふふふ、言質取りましたー」
「え」
「さあ、告白の瞬間をもう一度聞いてみましょう」
『……好きだよ』
『……本当?』
『うん』
「なんで携帯で録音を!?」
「その方がおもしろいじゃない」
「おもしろくないよ!」
『……好きだよ』
『……本当?』
「リピート再生するなあ!!」
「言質は取ったからね。まさか嘘でしたとは言わないよね?」
「消してよ恥ずかしいから!」
「だーめ。でもまあ、代わりに――」
「んむ!?」
「ん……」
「――」
「……」
「――あ、あの」
「……好きって言ってくれたお礼」
「いや、その」
「いいじゃない、キスくらい」
「でも」
「いいの」

「どうせキミにしかこんなことしないんだから」



      ※   ※   ※



……幼馴染みとは言うけど、あまり幼馴染みらしさは感じられない気がします。
会話文だけの話は何度か書いたことありますけど、やっぱり難しいです。
でも結構楽しく書けました。
ちなみに私自身はあまりこたつにはこもりません。
何もする気が起きなくなるから、自制しています。

かおるさとーでした。
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