砂糖を焦がせば薫る日々

サイト更新と読み物を少々

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小ネタ・夜這い


 物音がして、目が覚めた。
 ぱちりと目を開けると、仰向けで寝ていたぼくの顔に、丸い影が降りていた。
「……」
 意識がぼんやりしていて、事態をつかめない。
 部屋の電灯は消しているけど、円形の照明の真ん中にある豆電球にはオレンジの光が灯っていて、完全な闇ではない。慣れればすぐに周りの様子を把握できる。
 だからすぐに、その影が人の顔だとわかった。綺麗な卵形の、女の子の顔だ。
 よく知った顔だった。
「ヤエちゃん?」
 隣の家に住む二つ下の女の子だ。昔から仲良くしている子で、小学校の時もよく一緒に帰っていた。去年中学に上がってからはぼくのことを「先輩」と呼ぶようになって、ぼくも結構嬉しかったりしたんだけど、一方でその成長がさびしくもあったりした。
 その後輩の女の子が、ぼくの顔を覗き込んでいる。
 カーテンの向こう側はまだ闇に覆われている。
「……何やってるの?」
 ヤエちゃんはにっこり笑って言った。
「夜這いに来ました、先輩」
 たぶん聞き間違いだろう。ぼくはつられるように笑った。彼女もそれに合わせるように笑みを深める。いい笑顔だ。肉食獣みたいに獰猛に見えるのはなぜだろう。
 今何時だろうと壁掛け時計を見たら、夜中の二時だった。
「どこから入ったの?」
「玄関からに決まってるじゃないですか」
「どうやって入ったの?」
「秘密です」
 不法侵入じゃん。
 ヤエちゃんはベッドに上ると、ぼくの体に擦り寄ってきた。
「……何やってるのかな」
「さっきも言いましたよ。夜・這・い・です」
 今度はアクセントをつけて強調された。
 聞き違いではなかったらしい。
「……普通は男がするものだと思うけど」
「そんなの嘘です。だって先輩、一度も私のところに来てくれたことないじゃないですか」
「その理屈は実にツッコミどころ満載だね」
「いきなり突っ込むだなんて、先輩も大胆ですね!」
「会話が成り立たないから落ち着きなさい。あと大声出すのやめなさい」
 諭すように言うと、ヤエちゃんは素直に頷いてくれた。一応、聞き分けのよい子なのだ。
 ぼくは体を起こすと、くっつこうとするヤエちゃんを押し留めてから、とりあえず話を聞くことにした。
「で、どうしていきなりこんな真似をしたのかな」
 先輩として言うことはきっちり言っておかなければならない。少し厳しい口調で詰め寄ると、彼女は答えた。
「えーとですね、私この前大人になったんですよ」
「?」
 大人になったとはどういうことだろう。中学二年が大人になったとは一体……
「……」
「あ、先輩えっちいこと考えてますね」
「い、いや、そんなことは」
 女の子は早熟だから、まあ誰かとそういう関係になっても不思議ではないけど、まさかヤエちゃんが……
「何か勘違いしてません? 初潮を迎えたってことなんですけど」
「え? ……あ、そういうことか」
 早とちりだったみたいだ。
 そうだよな。さすがに早すぎるもんな。なんだ、初潮を迎えただけか。それなら安心だ。
 ……ごめんなさい。ものすごく失礼な勘違いでした。
 ヤエちゃんはしかし、特に気にした風でもなく、轟然と胸を張った。
「そういうことです。私、子供を産めるようになったんですよ」
「……」
 そういうことをわざわざ報告に来るのはどうなんだろう。夜中の二時に。
「えーと……それは、よかった……ね?」
「はい、ありがとうございます! 私、頑張って先輩の赤ちゃん産みますね!」
 だからもっと声のボリュームを下げなさい。うちの親起きちゃうよ。
 うん。……うん?
「誰の赤ちゃんを産むって?」
「ですから、先輩の」
「先輩……誰のこと?」
「おかしなこと言いますね。先輩と言ったら先輩しかいないじゃないですか」
 おかしなことを言いながらぼくを指差すヤエちゃん。
 そうだね。ぼく、先輩だよね。
 いやいやいやいや。
「ごめん。まったくもって理解不能なんだけど」
「じゃあストレートに言います。子作りしましょう」
「ははは、キミ変化球投げる気ないだろ」
「回りくどいのは苦手です」
「ぼくは変化球の方が打ちやすいんだけど」
「先輩のバットなら私いくらでもホームラン打たれちゃいます!」
「人の話を聞きなさい。あとその隠す気のない比喩をやめなさい」
 昔の君はそこまでおかしくなかった。ぼくのことをお兄ちゃんお兄ちゃんと可愛く呼んでくれた。
 目を覚ませ。
「あのね、たちの悪い冗談は言うものじゃないよ。変な男に騙されるよ」
「先輩になら騙されてもいいです」
「そんなことしないから。そうじゃなくて、なんだい、急に子作りって。おかしいでしょ」
「おかしくありませんよ。私は先輩のことが好きで、先輩の遺伝子を受け取りたいんです。実に真っ当な欲求に基づく行動です」
 実に真っ当におかしなことを言うヤエちゃん。
「13歳にもなって困ったものだねこの子は」
「いいじゃないですかせんぱいー、私を受け止めてくださいよー」
「ぼくの意思は考慮されないの?」
「え? 先輩が私のこと嫌いならあきらめますけど」
「……嫌い」
「うそですね」
「こら」
「だって今変な間があったじゃないですか。それに昔からの付き合いですよ。好きかどうかはともかく、嫌いってことはないと判断します」
 さすがに無理があったか。
「あのね、まだ義務教育も終えてないくせに、変なこと言わないの」
「じゃあ中学卒業した後ならいいんですか?」
「そういうことじゃなくてね」
「むー、じゃあどうすれば私、先輩と添い遂げられるんですか」
 ほっぺを膨らませて不満そうに愚痴る。こういうところはかわいいね。
「ヤエちゃん、まず順番が違うでしょ」
「え?」
「付き合ってもないのに、いきなり肉体関係を求めるのは大人でもまずないよ。最終的にそういう関係を求めるにしても、まずはきちんとお付き合いをしてからだ」
「じゃあ先輩、私の彼氏になってくれませんか?」
「……」
「なんで黙るんですか」
「いや、迂闊に答えると人生間違えそうな予感がして」
「間違えても先輩と私なら乗り越えられますよ!」
「無駄にポジティブだなこの子は!」
 ヤエちゃんはぐっ、と拳を握ると、ぼくの胸を突いてきた。
「女の子がこんな時間に勇気出して迫ってきてるんですよ? 少しは根性見せてくださいよ、先輩」
「いや、だから駄目だってば」
 断ってるじゃないかさっきから。
「夜這いにも一応礼儀というか、作法があってね。無理強いは基本的に駄目なんだよ」
「え、そうなんですか?」
「まあ必ずしもそれが守られていたわけじゃないけどさ、両者合意の上でするのが本来正しい」
 夜這いが正しいことかどうかはともかく。
「で、ぼくはきみとそういうことをする気はない。そういうわけで、あきらめてくれないかな」
「……ちょっとひどいですよね。もう少し言い方を考えた方がいいですよ」
 深夜二時では頭もうまく働かないのです。申し訳ない。
「じゃあ、一つだけお願いしてもいいですか?」
「何?」
「今夜、一緒に寝てもいいですか? もちろん変な意味じゃなくて。昔キャンプで、同じテントで過ごした時みたいに」
「……いいよ」
 ヤエちゃんは嬉しそうにはにかんだ。
 ぼくらは同じ毛布の中に入ると、並んで仰向けになった。
 ヤエちゃんがぼくの左手をそっと握る。
「えへへ」
「あんまり周りを心配させるようなことをしちゃ駄目だよ」
「はーい」
 体を丸めるようにして、ぼくの腕に抱きつくヤエちゃん。
 年下の女の子の体は、安心させるような温かさがあった。



「ヤエちゃん、どうしてぼくのズボンに手を掛けているのかな?」
「あ、おかまいなく。先輩は私の手に身を委ねて気持ちよくなっちゃってください。なんでしたらそのまま高ぶりを抑えることなく私にぶつけても」
「早く寝なさい!」
 明日からは鍵を新調しよう。身の安全のためにも。



          ※     ※     ※



本番なしの夜這いネタ。これくらい軽いと書きやすいんですけどね。本番が入ると途端に難しくなるのです。
まあ中学生の夜這いネタって時点でまずい気がしないでもないですが。

個人的には夜這いは男の子より女の子がする方が萌えます。
男の子から仕掛けるのもいいんですけど、私が書く男のタイプが変に固いというか、真面目なキャラばかりなのでイメージしづらいんです。
あ、でも俺様男子が強引にアレするのも好きですよ。
ぶっちゃけた話、夜這いというシチュが好きですよ。
されたいです(うわぁ)

小ネタばかりじゃなくて、ちゃんとしたお話を進めたいところですが、一応がしがし書いてはいます。
今月中には「In vino veritas.」の番外編を投下したいと思います。サイトの更新も。
「~たくて」話は思うように進まないですね……なんだか登場人物のじれったい関係に引っ張られてこちらの筆も自然とゆっくりペースになるといいますか。
それでも終わりは見えてきているので、GWを目標に頑張ります。

チャリティー企画にも参加したいんですけどね。その前に別件の原稿を書かなきゃならないんですよね……。
愚痴っても始まらないのでがしがしキーを叩きます。


あ、アニメもいろいろ見てるんですけど、花咲くいろはがおもしろいかもしれない。
シュタゲもおもしろいです。他はDOG DAYSとか。やたら叩かれてますけど、私はあのコミカルな内容がおもしろいと思うんですけどね。なんていうか、まさにアニメって感じが好き。
創作意欲も刺激されます。ジャンル違うけど。





それではそろそろこの辺で。

かおるさとーでした。

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*** COMMENT ***

もう、死にたいくらい悶えました~

すみません、本番の感想を書く前に…。
なんか変なコメントがついていて、気になりました。
fateがブログ紹介記事を載せる前だったので、fateのところからではないだろうとは思いましたが、…勝手に掲載させていただくfateの記事に寄って、今後こんなことになったら…と一瞬、躊躇して、思わず作品を拝読している…という訳の分からない状態です(^^;

ただ、前述のやな感じ、を吹き飛ばす勢いのこの世界に、超! 萌えてます!!!
ヤエちゃん、可愛いよ~
とにかく、可愛いよ~
そうそう、ものすごく失礼なことに、fateはかおるさとーさんの男性キャラのイメージがものすごい薄い! 全部同じ男の子? みたいに(いや、さすがに」そこまでは…(--;)感じるくらい、女の子が際立っていて、これなんて、中学生? 初潮を迎えたばっかり? なんて初々しいんだ、そして、なんて直球で素直でいじらしいんだ!!! と無駄に叫びそうです。

これも、一部掲載させてください。
…だけど、もし、fateのブログ記事のせいで、何かありましたら、お知らせください。
なんか、モウレツに腹が立ってます。

コメントありがとうございました。

実は、一昨日いろいろ紹介文を考えながら寝て、昨日の朝、いざパソコンに向かったらほとんど思い出せなくて、転載文章を「どれにしようかな~」とか読み直させていただいている内に、あんなモノになってしまい(^^;
今朝、追加しました。
本当に言いたかったのは今朝upした分です。
失礼しました(^^;

fateさんへ

こちらにもコメントありがとうございます。

ときどき、業者か何かの変なコメが来たりしますね。ほとんどは設定で弾いているのですけど、たまーにチェックを通り抜けてくるのもあります。本当に稀なことなんですけどね。あまり気にしないようにしています。
もちろんfateさんのせいなんてことは全然ありませんよ! むしろ知らせてくださってありがとうございます。

中学生くらいの子を書くのは、大丈夫かな? と、ちょっと心配にもなるのですがw でもこれくらいの年頃の子を書くのも好きです。かわいらしいですからね。ロリコンとかじゃなくて、ほほえましい感じのかわいらしさを書くのが好きです。
うまく書けているかどうかはわかりませんが……。

そして、改めてご紹介ありがとうございます!
とっても素敵な風に紹介していただいて、若干ハードル上がったんじゃないかと思いますけどw ともあれこれからもがんばります。
一応リンクも張ったんですけど、あまりにわかりにくいので、もう少し目立つところに張り直したいと思います。

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